さあ、はじまりました新企画「全国のさつま芋ラバーに捧げる『いも百珍(ひゃくちん)』!
江戸期には数えきれないほどの料理の専門書が出版されており、現代のわたしたちが見ても作ってみたくなるレシピがたくさん掲載されています。
近年、江戸料理の人気が高まり大手レシピサイトで江戸料理のレシピが掲載されたり「古典に親しんでもらいたい」という想いから人文学オープンデータ共同利用センターにて『万宝料理秘密箱 卵百珍』から再現した見た目もかわいい卵料理のレシピがたくさん掲載されています。
「わたしも江戸期の料理を再現したい!でも料理研究家さんが完成させた料理だと読者さんに楽しんでもらえないかも」と思っていたところ出会ったのが『甘藷百珍(いもひゃくちん)』という江戸期の料理本でした。
『甘藷百珍(いもひゃくちん)』とは?
「甘藷」とは、さつま芋のこと。
編者 珍古楼主人
成立年 寛政元年(1789年)
先に刊行されて好評を博した「豆腐百珍(とうふひゃくちん)」をまねて書かれたもので、「奇品」「尋常品」「妙品」「絶品」に分けて
123種類のさつま芋料理が掲載されている本。
『甘藷百珍』の実際の資料は国会図書館デジタルコレクションで見られます(コチラ)
『いも百珍』のレシピを読んで見ると「いもうどん」「蜜柑餅子いも」「ふは/\いも」など、どうやって作るのか想像もつかないレシピもたくさん掲載されています。
再現できずに壁にぶち当たることもあるかもしれませんが、それが古典の楽しさのひとつでもあると思います。
当時の文献を読みながら、本で調べながら、みなさんも見たこともないような料理をつくっていけたらいいなと思っています。
記念すべき1品目 奇品 「肉蒲いも(かまぼこいも)」
さきほど軽く触れましたが、レシピは「奇品」「尋常品」「妙品」「絶品」というランクに分けられて書かれています。
レシピのランク
「奇品」一風変わっていて、人のなかなか気が付かない調理法
「尋常品」家庭で比較的よく料理されるもの
「妙品」形、おいしさの二つを兼ね備えているもの
「絶品」妙品よりさらに秀でた真の味を伝える、絶妙の調和のとれた料理
本の掲載順に料理を再現していきたいので「奇品」の料理からつくっていきます。
今回つくる「肉蒲いも(かまぼこいも)」の作り方です。
現代訳
いもを生のままおろし、水気をしぼります。
うどん粉(小麦粉)を少し加え、かまぼこのように板に塗り付けて蒸します。
蒸し上げたら芥子(けし)か青のり粉をかけて小口切りにします。
また18品目に書いた色付けいも(そのうち登場します)の五色の中から好みの色をつけると、きれいでよいでしょう。
ふむふむ。魚のすり身の代わりにサツマイモを使うのですね。
生のいもをすりおろすのが大変なので、細かく切ったサツマイモを電子レンジ10分ほど温めてミキサーにかけました。
ところで江戸期の料理本あるあるなのですが、分量が書いていないのです(笑)
現代のように「〇人分の分量です」なんて優しさもないので、この時点で460グラムのサツマイモを使用して後に量が多すぎることに気が付きます。
電子レンジではなく茹でてからサツマイモをほぐしてもよいのですが、この柔らかくしたサツマイモへ小麦粉を大さじ三杯入れます。
そしたら材料がひとまとまりになるようにコネコネこねます。
上のようなかんじに生地がまとまればオッケー!
そしたら次は、かまぼこ板に生地をかまぼこ形にすりつけます。
もうなんか完成が見えてきましたね(笑)
そうしたら蒸し器で蒸していきます。
が、私の家には蒸し器がないため鍋に大きさの手ごろなザルをはめて蒸します(笑)
いや、もう蒸せたらなんでもいいんですよ(笑)
ここから15分間じっくり蒸して、ついに完成した「肉蒲いも(かまぼこいも)」がコチラ!
これが「肉蒲いも(かまぼこいも)」です!
断面も見てみましょう。
見た目は芋ようかんのようです。湯気でホカホカ温かいうちにいただきます!
もっちりホクホクです!これは温かいうちに食べるべきですね。おいしい。
小麦粉がよい仕事しています。
レシピに味付けの記載がなかったのでサツマイモと小麦粉しか使っていませんが、スーパーマーケットの安いサツマイモでもじゅうぶんに甘くて美味しくできました。
味に変化をつけるために試しにザラメと塩をつけて食べてみたのですが、個人的にはだんぜん塩が美味しかったです。
塩のしょつぱさとサツマイモの甘さでパクパク食べられます。
「いも百珍」に書いていた通り、青のりをまぶしても美味しそうですよね。
こんな感じで残り122品(笑)
しばらくは米ではなく主食がサツマイモになりそうです(笑)
次回は「玳琩環いも(ちくわかまぼこいも)」です!
おたのしみに~
「肉蒲いも(かまぼこいも)」レシピおさらい
サツマイモ 150グラム 小麦粉大さじ一杯
上のふたつを混ぜて生地をつくり、かまぼこ板にすりつけて15分蒸す。
☆芥子(けし)や青のりをまぶすとさらに美味
※再現したときの分量が多すぎたので適量で記載しています。
この分量で、かまぼこ板二個分はつくれます。