2023年6月15日に新刊がでました
2023年6月15日に新潮社より『春画の穴』を上梓することになりました。 この書籍は新潮社のPR誌『波』の連載を単行本化したものです。 連載はすべてモノクロで画像を掲載していたのですが、刊行にあたりカラーで大きめの画像を掲載したので、 より江戸の性の世界に入り込みやすくなっています。 気になっていた江戸期の身体や性の表現 2018年頃から春画の活動をゼロからスタートし、くずし字の勉強をするようになり、 研究者の本ではなく、大学のベータベースから春本を直接読むようになりました。 そのなかで興味が湧いたの ...
オンナのアソコが見たいという衝動と見世物
江戸期には性的な様々な見世物興行が行われていました。 しかしながらその記録を資料より辿ろうとすると、思いのほか纏まった情報が少なく、 様々な書籍などの媒体から探し、細々と記録をかき集めるほかありませんでした。 この記事では江戸~明治期の性の見世物興行に焦点当ててきます。 各地で行われた「やれ吹けそれ吹け」とは? 絵師不詳『花いかだ』立命館アートリサーチセンター アイキャッチ画像同じく三味線の囃子とともに披露する見世物 性的な見世物として広く知られているものに「やれ吹けそれ吹け」という見世物があります。 ...
2021年12月に書籍が発売しました
この度、新刊『江戸の女性たちは どうしてましたか?ー春画と性典物からジェンダー史をゆるゆる読み解く』を晶文社より出版することとなりました。 性の捉え方が変化しつつあるこの時代、かつての日本の文化風習をどのように受け止め、考えればよいのだろう。 春画や江戸期の書物をジェンダーで読み替えながら、ときに笑い!ときに批評しながら!私たちの性を「今」考える一冊ができました。 現代で度々、女性の性表現が話題にあがり、その度に江戸期の春画が比較されます。 「江戸期に女性の乳房はエロの題材にはならなかった」 そしてある人 ...
江戸期の書物から読むお互いの心を満たすセックス体位
様々な体位が説明されている『古今枕大全』 今回は性典物よりセックスの体位をご紹介します。 ご紹介する本は『古今枕大全(ここんまくらたいぜん)』というハウツー本。 絵師は鈴木春信説が散見されますが、小松屋百亀と考えられています。 明和期(1764~72年)に出版されたと考えられる、恋愛のタイプ、性体験記、恋愛結婚の必勝法などが書かれた性典物です。 この書物には「女は長崎までイきたかったのに、播磨安芸あたりまでしかイけない」という男女のセックスでの気持ちのすれ違いについても書かれており、書籍やツイッターで ...
江戸期の「乙女と両想いになる方法」がサイコパスすぎる
江戸期には様々な性典物(性のハウツー本)が存在する。 例えば「吸茎(フェラチオ)の方法」「相嘗め(シックスナイン)の方法」「口吸い(キス)の方法」などテクニック系に始まり、「股の傷薬」や「即席のディルドの作り方」などのレシピまで様々である。 《吾妻文庫(あづまぶんこ)》歌川国芳 1838年 江戸期の性の認識として「交わりはおめでたいもの」「陰陽和合は万物を創造する大切なもの」という価値観が存在したため、春画では夫婦やカップルが幸せそうに抱き合う場面が見受けられる。 性典物の内容でも「布団に入っていきなり相 ...
オンナの性欲が「わらい」になるとき
なぜこの状況が「わらい」というものに変換されて絵に表現されるのか。 ただただ、不思議だったのだ。 鎌倉時代から江戸時代の多くの性に関する文献を見ていると、様々な表現はある時突如として登場したというよりも、歴史や生物的な事柄の積み重ねであることはよくわかる。 性の営み(つまり”生きること”)を描いた春画は「わらい」と密接であり、即物的な興奮を促すだけではなく、教訓めいたものやその当時の流行までも描く。 その表現の中のひとつに「女性の果てることのない性欲と、それに懲りる男性」というパターンがある。 男性が女性 ...
200年前の遠距離恋愛辛すぎだろ。
みなさん遠距離恋愛を経験したことありますか? またこの記事を読んでくれている方の中に、現在進行形で遠距離恋愛をしている方はいますか? 江戸時代にも遠距離恋愛は存在したのか? わたしは存在したと考えています。 なかなか連絡が取れなくて、会えるのは年に数日間という恋人たちがいたのです。 それは奥女中と、その恋人です。 わたしはこれを江戸時代の遠距離恋愛と感じ、この恋人たちの宿下りの春画を「遠距離恋愛春画」と呼び鑑賞していました。 あらかじめ伝えますが、奥女中とその恋人を遠距離恋愛中のカップルととらえ、 その春 ...
3年前まで浮世絵はぜんぶ手で描いてると思ってたし国貞を知らなかったはなし
ともだちが撮ってくれてなんか好きな写真なのでアイキャッチ画像にしました。 いつも大変お世話になっております。 春画―ルと申します。 インスタグラムとツイッターのフォロアーが両方とも一万人超えたので、 このタイミングで改めて「春画―ルって何者?」 という方々のために、日々行っている活動等について綴らせていただいちゃいます! 活動のキッカケは? 天保八年 歌川国芳《花結色陰吉(はなむすびいろのほどよし)》国際日本文化研究センター 活動の最初の、最初の理由は自分の手の届く範囲以外での繋がりが欲しい、というものだ ...
第3回#春画バーを銀座で開催して震えた。ありがとう ありがとう
令和元年9月7日に銀座で第3回『the shunga catharsis bar』(名前が長すぎるので #春画バー)が開催されました。 (第1回目女子限定) (第2回目男子限定) 来てくださった方々、ほんとうにありがとうございました。 かなり忙しかったので細部の記憶があんまり無いのだが、すごく楽しかったのでここに記録します。 今回のイベントの告知はTwitterだけでしました。 今までは開催させてもらったバーが12名ほどしか座れないコンパクトな空間だったのと、 春画という性の風俗画がたくさんある空間での演 ...
文化記録映画『春画と日本人』ーこれは誰のドキュメンタリーかー
軽快な音楽とともに葛飾北斎《喜能会之故真通(きのえのこまつ)》の一図がスクリーンいっぱいに映し出される。 この時点で上映後1分くらいだろうか。すでにクスリ、フフフと声が出る。 葛飾北斎《喜能会之故真通》 春画に書かれている詞書(ことばがき)が読み上げられる。 ちゅう、つっぱつっぱ、ふふう ふう すう 春画には口吸いの音や身体と身体が絡み合う音、こすれる音が書かれているのだ。 この時点で開始3分くらいだろうか、上映館内はワハハ、ケタケタと来場した人々の笑いに包まれた。 そう、これが春画の力なのだ。「わらい絵 ...
おおらかな性の時代はあったのか
「江戸時代は性におおらかだった」 そういう本を見かけるし、SNSでコメントをいただくこともある。 私自身も春画を見始めの頃はそう思った。 江戸時代は春画は嫁入り道具にもなり、ペリーの黒船が来て日米安保条約を結んだときに 友好のしるしにために春画を贈ったというエピソードは極めて有名だ。 銭湯は混浴の時代もあったし、明治のジャーナリスト宮武外骨の「猥褻風俗史」では 日本各地に陰陽石が存在し、陽物に手をあわせることもあったことが記録されている。 しかし、それは”おおらか”であり、性に寛容だったからだろうか。 わ ...