オンナのアソコが見たいという衝動と見世物
江戸期には性的な様々な見世物興行が行われていました。 しかしながらその記録を資料より辿ろうとすると、思いのほか纏まった情報が少なく、 様々な書籍などの媒体から探し、細々と記録をかき集めるほかありませんでした。 この記事では江戸~明治期の性の見世物興行に焦点当ててきます。 各地で行われた「やれ吹けそれ吹け」とは? 絵師不詳『花いかだ』立命館アートリサーチセンター アイキャッチ画像同じく三味線の囃子とともに披露する見世物 性的な見世物として広く知られているものに「やれ吹けそれ吹け」という見世物があります。 ...
2021年12月に書籍が発売しました
この度、新刊『江戸の女性たちは どうしてましたか?ー春画と性典物からジェンダー史をゆるゆる読み解く』を晶文社より出版することとなりました。 性の捉え方が変化しつつあるこの時代、かつての日本の文化風習をどのように受け止め、考えればよいのだろう。 春画や江戸期の書物をジェンダーで読み替えながら、ときに笑い!ときに批評しながら!私たちの性を「今」考える一冊ができました。 現代で度々、女性の性表現が話題にあがり、その度に江戸期の春画が比較されます。 「江戸期に女性の乳房はエロの題材にはならなかった」 そしてある人 ...
江戸期の書物から読むお互いの心を満たすセックス体位
様々な体位が説明されている『古今枕大全』 今回は性典物よりセックスの体位をご紹介します。 ご紹介する本は『古今枕大全(ここんまくらたいぜん)』というハウツー本。 絵師は鈴木春信説が散見されますが、小松屋百亀と考えられています。 明和期(1764~72年)に出版されたと考えられる、恋愛のタイプ、性体験記、恋愛結婚の必勝法などが書かれた性典物です。 この書物には「女は長崎までイきたかったのに、播磨安芸あたりまでしかイけない」という男女のセックスでの気持ちのすれ違いについても書かれており、書籍やツイッターで ...
オンナの性欲が「わらい」になるとき
なぜこの状況が「わらい」というものに変換されて絵に表現されるのか。 ただただ、不思議だったのだ。 鎌倉時代から江戸時代の多くの性に関する文献を見ていると、様々な表現はある時突如として登場したというよりも、歴史や生物的な事柄の積み重ねであることはよくわかる。 性の営み(つまり”生きること”)を描いた春画は「わらい」と密接であり、即物的な興奮を促すだけではなく、教訓めいたものやその当時の流行までも描く。 その表現の中のひとつに「女性の果てることのない性欲と、それに懲りる男性」というパターンがある。 男性が女性 ...
ピカソとおそろいの春画が家に来た
春画とは「性のいとなみを描いた風俗画」です。 春画はわたしの生きるうえでの喜びや活力であり、癒しなのです。 ひとりで家でお酒を飲みながら(ほとんど飲めないけど。)コレクションの春画に風を通しているときは至福の時間です。 春画を愛していた著名人はかなり多いのですが、画家のパブロ・ピカソも春画を愛したひとりです。 彼の描いた絵には、春画からインスパイアされたような男女が交わる絵や、蛸と女の絵もあります。 身体のリアルな骨格をよりも、魅せたい部分を大胆に表現する日本の春画の表現は、キュビズムの創始に影響を与えた ...
文化記録映画『春画と日本人』ーこれは誰のドキュメンタリーかー
軽快な音楽とともに葛飾北斎《喜能会之故真通(きのえのこまつ)》の一図がスクリーンいっぱいに映し出される。 この時点で上映後1分くらいだろうか。すでにクスリ、フフフと声が出る。 葛飾北斎《喜能会之故真通》 春画に書かれている詞書(ことばがき)が読み上げられる。 ちゅう、つっぱつっぱ、ふふう ふう すう 春画には口吸いの音や身体と身体が絡み合う音、こすれる音が書かれているのだ。 この時点で開始3分くらいだろうか、上映館内はワハハ、ケタケタと来場した人々の笑いに包まれた。 そう、これが春画の力なのだ。「わらい絵 ...
おおらかな性の時代はあったのか
「江戸時代は性におおらかだった」 そういう本を見かけるし、SNSでコメントをいただくこともある。 私自身も春画を見始めの頃はそう思った。 江戸時代は春画は嫁入り道具にもなり、ペリーの黒船が来て日米安保条約を結んだときに 友好のしるしにために春画を贈ったというエピソードは極めて有名だ。 銭湯は混浴の時代もあったし、明治のジャーナリスト宮武外骨の「猥褻風俗史」では 日本各地に陰陽石が存在し、陽物に手をあわせることもあったことが記録されている。 しかし、それは”おおらか”であり、性に寛容だったからだろうか。 わ ...
男子限定!俺たちの春画バー
前回の女子限定の"The shunga catharsis bar"の開催が大成功の内に幕を閉じた。 「女子だけずるい!男子だって春画が見たいんだ!」という叫びが聞こえた気がして男子限定も開催を してみることにした。 春画が張り巡らされた空間に身を委ねる バーの名前” The shunga catharsis bar ”の"catharsis カタルシス"には「精神の浄化」という意味があります。 《カタルシス》舞台の上の出来事(特に悲劇)を見ることによってひきおこされる情緒の経験が、日ごろ心の中に鬱積(う ...
美術品を買うすゝめ
ども、365日春画を見る春画―ルです。 先日ご縁があり我が家に浮世絵がやって来た。 記念撮影。すげえ顔 全点数71点 写真は無事にが届き、中身の数や状態を確認し記念撮影したところ。 「ああ、我が家にようこそ、春画ちゃんたち。何百年間といろんなひとたちの手に渡り、ここを終着駅に選んでくれてありがとう」 そんな気持ちに高揚し、胸躍った。 私自身、そんなに資金が潤沢なわけでもなく生活に直結しないものへ投資をすることへの抵抗感もあったのよ。 「春画は好きだけど、わたしは本物を買うことはないかな。食べられないし。」 ...
「春画のおすすめの本ありますか?」
(「ひっ!高い本が破れてるっっ!」と悲鳴あげられた写真 ↑↑↑ ) 「春画のこともっと知りたくて、何かおすすめの本ありますか?」 「入門から勉強してみたくて」 「色彩が美しい春画をみたいのですが」 SNS上でフォロワーの方から時折ご本についての質問をいただくことがある。 わたしもそうだったが、先ず春画について知りたいと思ったときにどれを買うか迷う迷う。 ちなみに春画の本を買うならGINZA SIXに店舗がある銀座 蔦屋書店さんをおススメする。 浮世絵コーナーとは別に春画のコーナーがあり、豪華本(装丁や印刷 ...
江戸時代の見世物カルチャーはやっぱり春画になる②オンナのアソコ編
意外と資料が無いっていう文句 前回の日本の見世物カルチャーでは舶来動物について春画とともに紹介した。(この記事) 今回は男が喜ぶ女のアソコの見世物小屋だ。 個人的にも性に関する見世物にどのようなものがあったのか興味があった。 調査のため広尾にある東京都立中央図書館に行った。国内でも大きめの図書館ということで、そりゃあ見世物小屋の資料もわんさかあってウホホーイかと思いきや甘かった。 生人形や駕籠細工などの資料はあれど、性に関する見世物の資料があまりなかった。 そんな状況の中頼りになったのが明治44年刊行の宮 ...
江戸時代の見世物カルチャーはやっぱり春画になる①舶来動物編
江戸時代の見世物ってなにしてたの? 見世物とは、いわゆる当時のエンタメである。 珍しいモノや芸をみる。それは子供から大人まで楽しめるものもあれば、男の娯楽的なものもある。 見世物の起源は不詳だが、1660年頃にはすでに見世物は存在したそう。 見世物が盛んに行われたのは浅草と両国の二か所であり、このほかに上野山下、芝、深川、また堺町や葺屋町でも興行が行われた。 エリアの共通として、そこには寺社地があったことだ。 寺社地とその周辺は見世物の主要な興行地であったようだ。 このように見世物は「門前」と結びついてお ...